最近は、人前でも平気で甘えてくるようになり、その姿がとても可愛い。隣に座ると自然に寄りかかってきて、その温もりが心地よく、そっとエリーの肩に腕を回して抱き寄せた。
「あのぅ……。わたしも……いるのですが……」とフェルシアが気まずそうに呟いた。「わ、悪いな……」と気まずそうに、フェルシアに謝った。
「夫婦なので……良いじゃないですかぁ〜」と、エリーが俺に頰を膨らませて言ってきた。
「いや、夫婦でも人前でイチャイチャするのは、ちょっとな……恥ずかしいだろ……」と照れながら言った。
外国では、普通なんだっけ? しかもここは異世界だし……どうなんだろ? 周りを見ると夫婦は仲良くしているようだが……イチャイチャはしている者はいなさそうだぞ? デートをしている者も少ないしな。婚約して触れ合えるとか言ってるくらいだしな。
「ですよね~。夫婦ならば仕方ありませんね……羨ましいですよぅ……。あ、わたしは夕食の準備でもしますかね……」と言い、フェルシアはキッチンへ向かった。甘えてきたエリーが俺を見上げると、色っぽい表情をして、そっと唇に吸い付いてきた。ちゅぱっ……はむっ、はむっ……♡ そのまま俺の胸に頰を押し付け抱きしめてきた。
「ユウさん、夕飯は何を食べたいですか? 頑張って作りますよっ♡ 明日は、フェルシアさんから料理を教わりながら待っていますね」と言ってきた。
フェルシアの作る料理は、美味しくて作れるメニューも豊富だった。エリーやユナから話しを聞くと、フェルシアは金持ちの商家が雇っていた料理人と仲良くなり、料理人から作り方を教わったらしい。
「そうか。エリーは、これから夕飯を作らないといけないんだったな……そろそろ帰るか」と呟き、外で遊ぶユナを連れて帰宅した。◇・◇・◇
夜になり、皆が横になって休むと、ユナはすぐに寝息を立てて寝てしまった。しかし、エリーは昼間にたっぷりと寝ていたため、なかなか寝つけずにいた。
「ユウさん、ユウさん……そちらに行っても良いですか? 昼間に寝てしまって……寝れそうにないです」と、エリーが嬉しそうに言ってきた。
「それなら……外を散歩でもするか?」と答えた。
「……うふふっ♡ それ、本当に散歩なのでしょうか?」と、エリーは嬉しそうに聞いてきた。
「どうだろうな……エリー次第じゃないのか?」とイジワルを言った。
「ん……わたし次第なのですか? どうしましょうね〜?」とイジワルが返ってきた。
「とりあえず、外に出るか……」と言い、エリーの手を握った。
「そうですね。夜のお散歩に行きましょ♪」と立ち上がり、外に出た。
外で見るネグリジェは、少し色っぽく見えた。月明かりに照らされた金髪がキラキラと輝き、俺を見つめたエリーの透き通るような青い瞳が美しく魅力的に見えた。
「ユウさん、昨日の場所ですか?」と嬉しそうに俺の腕を抱きしめてきた。
「どうしようかな~」とエリーのマネをして言った。
「むぅ……。マネをしないでください……」と、可愛い頰を膨らませて言ってきた。
可愛らしく色っぽく見え、その頰にキスをした。
「はぅ……。わたし、怒っているのですがぁっ」とエリーが可愛く言ってきた。
「怒っているなら、更に怒らせたら怖いから戻って寝るかー」と呟いた。「……え? わっ、えっと……ウソです、ウソ。ごめんなさい……ウソですよぅ?」慌てて言ってくるエリーが可愛く抱きしめた。
「……うぅ……ごめんなさい」と、エリーからも抱きしめてきた。
「俺も……嘘だぞ」と言った。
「知ってますよぅ♪ だって……大きくなっていますから……♡」抱きしめた時に、大きくなった息子がエリーに当たっていた。
「だよな……」と言いながら、エリーの肩に顎を乗せていい香りのする髪の毛の匂いを嗅いだ。
「……それを、どうして欲しいのですか……?」とエリーが、顔を真っ赤にさせて色っぽい声で聞いてきた。
「触って欲しいと言いたいが……エリーにしたい事があるんだが……。時間もあるし……」
「え? ……は、はい……?」驚いた声を上げて、コテリと首を可愛く傾げて俺を見つめてきた。
目的の場所までエリーに腕をぎゅっと抱きしめられたまま歩いてきた。
「座ってくれるか?」「え? は、はい……」目の前に立っている俺を見て気づいたようで、「……そこに座らないでくださいよぅ?」と先に言われてしまった。
「分かちゃったか?」と気まずそうに言った。
「普段は……良いですけど……キレイにしていないですし……ダメですよぅ……」と言いながら顔を逸らして、恥ずかしそうにしていた。
「それなら……キレイに洗ったら良いか?」と粘ってみた。
「……そこまで……ですか? うぅ……洗浄魔法は……めっ!ですからねぇ……!」と睨まれた。
お湯で洗ってもなぁ……外で夜だしな……寒くなるよな。そうだ……この際だし……風呂を作るか。
さっきまで怒鳴っていたとは思えないほど、ぽつりと落ち着いた声。 その赤い瞳は、どこか素直で、頼るように揺れていた。「……まあ、討伐が仕事だからな。」 視線を逸らしながら答えるユウの声は、なぜか落ち着かない。 リリアの柔らかさと温度が、近すぎる距離で伝わってくるせいか——。「……それに、ユウ様はとても頼りになりますわね」 くるりとユウの前に立ち、まっすぐに見つめるリリア。 その視線は真剣で、どこか期待するようだった。「……お前、いつももっと偉そうにしてるよな。」「なっ……なにを!? わたくしは常に上品に、ただ気高く……!」 途中まで勢いよく反論するも、ふと視線を泳がせ、頬が赤くなる。「……でも、その……今回は少しだけ、頼ってもいいかしら……?」「……俺に頼るって、お前らしくないな」「ち、違いますわ! わたくしはただ……状況的に仕方なく、そう、戦略的な意味で! そうですわ!」 ユウは苦笑しながら肩をすくめる。「ま、好きにしてくれ……」「ふんっ……最初からそう言えばよろしいのですわ……よ。」そう言いながらも、リリアはしっかりとユウの袖を握っていた。 森の探索を中に——ぽつり、と頬に冷たい雫が落ちた。「……あっ、雨……?」 リリアが空を見上げた瞬間、突如として空が鳴り、激しい雨が降り出した。「マズいな、こっちだ。走れ!」 ユウは手を引き、リリアを連れて駆け出す。ほどなくして、木陰の中にぽつ
その瞬間、リリアが腕にぎゅっと抱き着く。「きゃっ……! わたくし、ちょっと驚いてしまいましたわ!」——と言いつつ、頬をぷいっとそらしながら、無意識に俺へ寄り添い頬を軽く膨らませながら顔を上げる。「…………。」 ただ、頬をほんのりと赤く染め、ちらりとこちらを伺うだけだった。 ……え? いや、なんだこの可愛らしい仕草? 普段と違う、わずかに揺れる視線。 普段のリリアなら、気丈でプライドの塊みたいな態度なのに——なぜか、まるで別人のような無邪気な反応を見せている。「な、なんでそんなにくっついて……」 思わず戸惑いながら言葉を返すと、リリアはふわりと微笑む。「だって、ユウ様がそばにいらっしゃると……安心できますもの。」 その言葉が、思いのほか真っ直ぐで—— ——不意に、俺の胸が軽く鳴る。 何だこれ。変な感じだ。 しかし、すぐに気配を感じた。「っ、魔獣——!?」 俺はリリアを軽く抱き寄せ、反対の腕をかざす。 魔法の陣が瞬く間に発動し、閃光が飛ぶ。 魔獣の咆哮が短く響き、次の瞬間に魔獣は沈黙しその場に横たわる。 戦場に、ひとつの静けさが戻る。 ——そして、俺の腕に抱き着いたままのリリアが、目を輝かせて俺を見つめた。「すごいですわ……! ユウ様が戦うお姿を、こんなに間近で……見れるなんて!」 リリアは、何の飾りもなく無邪気に喜び、キャッキャと声を上げる。 それはまるで——普通の女の子のような反応だった。 俺はじっと彼女を見つめる。
湿った土の匂いと、葉が揺れる微かな音。しかし、その静寂の裏には確かに異質な気配が漂っている。「……っ!」 レオの肩がびくりと跳ねた。 魔獣の咆哮が響き渡り、地面が揺れる。近衛兵たちは即座に動き、戦闘態勢へと移った。 しかし、ただ守るだけではない。 彼らの役目は単なる護衛ではなく 「王子の活躍の場を確保する」 という難しい任務も抱えていた。 魔獣の巨体が木々の間から姿を現した。唸り声とともに鋭い爪が地面をえぐり、空気を引き裂く。 レオは怯えながらも、ちらりと近衛兵の動きを見る。「……ボ、ボクもやる!」 そう言いながら、ショートソードを握る。しかし、手にはわずかな震えが残っている。 近衛兵たちは巧みに動き、あからさまに倒すのではなく、攻撃をいなすように戦う。魔獣の動きを制限し、レオが攻撃しやすい形に誘導する。「レオ様、今です!」 促される形で、レオは剣を振り下ろした。ザシュッ! 刃が魔獣の肩をかすめる。決定打ではないが、それでも 「確かに攻撃が通った」 という手応えがあった。 レオの目が輝いた。「やった……やったぁ!」 怯えは少しずつ薄れ、楽しさが込み上げる。しかし、魔獣はまだ健在である。「調子に乗るなよ、レオ。次の動きがくるぞ!」 ユウが声をかけた瞬間、魔獣が大きく跳躍する。 近衛兵たちが即座に反応し、レオの前へ飛び出した。 鋼の剣が閃き、魔獣の爪を弾く。その間に、レオは息を整え、次の攻撃のタイミングを測る。 ——戦場は混沌としている。しかし、レオの中には 確かに戦う意志が生まれ始めていた。 森の戦場は徐々に整備され、討伐の拠点が構築されていく。 レオの戦闘は近衛たちに任せても問題なさそうだが、万が一に備え、目の届く範囲で自由に動かせる。魔法が届く距離にいれば、即座
大所帯になってしまい、物資も大量になり馬車の隊列を作る事態となっていた。まるで戦場に向かう隊列だった。俺が前回「料理人も必要だな」と言ってしまい、俺が喜んでいたので今回も用意されていたのだ。 リリアは同じ馬車に乗ろうとしていたが、リリアのお付が「王子殿下と同じ馬車は……さすがに控えた方が。」と言われ不満な顔をして自分の馬車へ乗り込んでいた。 二人だけの広く豪華な馬車にレオと二人っきりになってしまった。だが、お互いに気を遣うこともなく寛いでいた。「なあ、なんで俺に懐いてるんだ?」 ずっと抱えていた疑問。 初めて出会ったとき、レオは冷たい目線を向け、意地悪そうな表情で試すような言葉を投げかけてきた。 それが今ではデレデレの笑顔で、俺の膝枕で甘えてきて寝転がっている。完全に警戒もしておらず、近衛も護衛も同席をしていない。「ん? ユウ兄が大好きだからぁ♪」「だから、なんで好きなんだよ? 初めは、挑戦的と言うか絡んできたよな? 実力を見ようとして。」「あぁ~そうだったっけぇ~? えへへ♪ エリー姉の旦那さんだしぃ~いいじゃん♪ ボクさぁ……エリー姉は姉弟だけどぉ……一緒に過ごしてなくて、兄弟って知らないんだよね。今まで、甘えられる人もいなかったしぃ……こんな関係、受け入れてくれる人いなかったんだぁ。普通に怒ってくれて、普通に接してくれる人がさぁ。」「そっか。」レオの言葉に納得してしまった。 甘えさせてくれる兄弟か。兄弟でも、ここまで甘えないと思うが……ま、レオの兄弟のイメージなんだろうな。好きにさせてやるか。エリーの弟なんだし。実際に義理の弟なんだからな。 俺の膝にぷにぷにの頬を押し付け、頬ずりをしてくる可愛いレオ。その片方の頬を指で突っつく。 陽が傾き始めるころ、やっと俺たちは森へと足を踏み入れた。 レオは軽装備に身を包み、革の胸当てとショートソードを腰に備えている。彼の小柄な体には過剰な装備は不要で、軽快な動き
問題が解決したリリアたちはなぜか未だにその場に留まっており、リリアはほっとした表情を浮かべている。 ……もしかして、王子が楽しみにしていた冒険に行けるのかを心配していたのか? ユウはふと疑問を抱きながら、リリアへ視線を向けた。「リリアたちは帰ってもよかったんだぞ?」 急に声を掛けられたリリアは、体をビクッとさせた。「……わ、わたしも、同行しますわ。せっかくですもの。興味がありましたし。」 ユウはその言葉に、心の中でため息をつく。 あぁ、これはウソだな。 上級貴族のお嬢様が、冒険に興味があるわけがない。しかも、レオの場合……どうせ駄々をこねて泊まると言い出す。そんな環境で貴族の娘が耐えられるわけがないだろう。 そもそも、この冒険とやらは魔物や魔獣の討伐だ。貴族のお嬢様がそんなことに興味を持つとは到底思えない。 ユウは少し眉をひそめながら指摘する。「冒険といっても、獣や魔獣の討伐だぞ? たぶん……泊まりになると思うが、大丈夫なのか? その前に、両親の許可が出ないだろ……。」 その言葉に、リリアはむぅぅ……と声を漏らし、目を潤ませた。 ……困っている。 それは彼女にとって、屈辱だったのか、それとも単に認めたくないだけなのか——。 こいつもなのか……? レオと同じで無許可で同行するつもりだったのか? みんなして、俺を犯罪者にしたいのか!? 公爵令嬢を無断で連れまわし、外泊させたとなれば……どうなるんだよ。まったく。 ユウは静かにリリアを見つめる。「……わたしが決めることですわ。ユウ様にどうこう言われる筋合いはございませんわよ。」 強気な言葉とは裏腹に、どこか不安そうな声音。 ユウはため息をつきながら、視線をレオへ向ける。 レオは変わらず無邪気に笑っている。「ん……ボクが同行を許可するっ♪ 人数がいっぱいの方がたのしぃー」『……楽しいのは、お前だけだろ!』と声に出したい気持ちをぐっと堪えつつ、俺は周りの様子を伺う。
王子自らが「許す」と発言したことで、リリアの緊張は一気に解けた。「お、お許し感謝申し上げます。王子殿下……」 かしこまった口調で声を震わせながら、深々と頭を下げるリリア。 これまでの勝気な態度は消え、礼儀正しく従うべき存在へと完全にシフトしていた。 ユウは、それを見つめながら、近衛兵へと視線を向ける。「リリアたちへの罪は、なくなったよな。手を出すなよ。」 静かに念を押すと、近衛兵たちは黙って頷いた。 その瞬間、リリアの表情がぽわーっと変化する。 安堵と共に、頬がほんのり桃色に染まり、ユウへ向けられる視線が変わった。 驚きの中に、何か別の感情が滲んでいる。 ——惹かれた。 今まで、彼女にとって誰もが自分に従い、気を遣う存在だった。 だが、ユウは違った。素っ気ない態度をとり、なのにリリアを庇い、危険を顧みず堂々と場を仕切り、圧倒的な存在感を持っていた。 それが新鮮だった。 それが……気になる。 それに——惹かれる。 リリアは、自分の心が静かに揺れるのを感じながら、ユウをじっと見つめていた——。 それに続き「手を出すなよー! ボクも怒るからぁっ」レオが俺のまねをして言ってきた。つい可愛くて、レオの頭をガシガシと再び撫でると、撫でられたレオが嬉しそうな顔をして見つめてきた。 近衛や護衛たちは王子の言葉に従い、恭しく膝を折って「かしこまりました」と返答した。その様子を眺めながら、俺は改めてレオの権力の重みを感じる。 王子という肩書きを持ち、彼の言葉一つで場が動く。そんな存在を、俺はこうして頬をむにむにと摘まんでいるわけだが——。「なぁ、冒険に出るのは構わないが、保護者に言ってきたのか?」 前回はちゃんと了承を得てから出かけた。だが、無断で王子を連れて森へ行くとなると話が変わってくる。万が一